内緒話



「だから、きっとそうだと思うんだ」
「へぇ…凄いッス!」

 部室の、片隅で。
 仲良さ気に肩を寄せ合って話しているのは、幸村と赤也だった。

 何事かを小声で囁き、くすくすと笑いあう姿は見ていて微笑ましいが、その内容が気になるのも確かである。特に先程から真田は、ちらちらとそちらの方ばかりを見ている。

「何だ、弦一郎。そんなに気になるのなら仲間に入れてもらえ」

 呆れるような柳の声に、真田は、いや、別に…と答えはしているが、一向に視線はそこから離れない。

「…気になるんだろう?」 (眼、開き気味)

「いや…。あ、ああ。少し」 (ちょっとひびってます〈笑)

「だったら、行って来い」  (けしかけてます)


 開眼気味の柳に後押しされ、真田はそっと2人に近付いた。

「た、楽しそうだな。何を話しているんだ?」

「ふふ。内緒」
「内緒ッス」

 真田、あっさりと撃沈。
 柳、こっそりと舌打ちする。 (きっと、使えないとか思っていらっしゃる)

 そして仕方なく2人に近寄った。

「赤也、そろそろ帰ろう」
「あ、はい!」

 即座に立ち上がって赤也が傍に寄ってきた。
 自分の傍に戻ったその姿を見て、ようやく柳が柔らかく微笑んだ。

「よし、行くぞ」
「はーい」

 仲良く連れ立って歩くその様子を見て、幸村は微笑ましげに見つめる。

「ふふ、やっぱり仲良いよね。さて、こっちも帰ろうか。…真田?」

注意…柳赤+真幸です